
三重県伊賀地方と滋賀県甲賀地方は忍者の発祥地として名高く、江戸時代の地誌「近江輿地志略」には「忍者伊賀甲賀と号し忍者という」とあり、忍者は「伊賀、甲賀の者」が代表格とされてきた。「甲伊一国」とも言われ、なだらかな丘陵を境に南北に隣り合い、今も交流が盛んである。京都や奈良などにも程近いことから情報が入りやすく、東に鈴鹿山脈、西に笠置山地に囲まれた山間の地は、時の権力者の恰好の亡命地であり、また大和街道や東海道が通る東西交通の要衝、そして軍事的にも重要な地域でもあった。伊賀、甲賀地方からどうして忍者や忍術が生まれたのか、その答えは忍びの里を訪ね歩くと自ずと見つけることができる。
