2019年05月28日
【甲賀市】構成文化財・新宮神社表門の保存修理事業完了について
日本遺産「忍びの里」の構成文化財の一つ、新宮神社の表門(国指定重要文化財)はこのたび保存修理事業が完了しました。
<解説>
新宮神社は杣三社と呼ばれた中世杣庄の有力な神社の一つです。付近には新宮城などの甲賀郡中惣遺跡群に指定されている複数の中世城館跡もあり、周辺の甲賀衆たちの活動の中心であったことがうかがえます。
※1924年 国指定重要文化財 指定
所在地:滋賀県甲賀市甲南町新治
<概要>
この表門は墨書から文明17年(1485年)に建てられたことがわかります。柱上部をつなぐ頭貫の先端部の木鼻彫刻や、中央柱間の蟇又の彫刻に、この時代の特徴がよく表れており、建立時から大きな改造を受けることなく伝えられてきた貴重な建物です。
柱や梁などの軸部の状況は、二階建の門である楼門の一階部分の形式であり、屋根内部には柱や貫が組まれた二階の一部と考えられる部材が残っています。
昭和35年(1960年)に解体修理を行った際の調査で、上層の柱に扉装置が取り付けられた跡等がなかったことから、二層の楼門となる予定が、下層と上層の一部を組み上げたところで計画が変更され、現在のような茅葺屋根が架けられたと考えられています。
表門は昭和35年(1960年)に解体修理、昭和61年(1986年)に屋根葺き替え修理が行われましたが、前回の修理から32年が経過し、屋根茅葺全体に腐朽・破損が生じており、早急な修理が必要であったことから、屋根茅葺の葺き替えと、さらに壁部分の白漆喰等の塗り直しを行い、建造時に劣らぬ姿に蘇りました。
近くにお越しになった際は、伝統の技で見事に生まれ変わった表門をぜひご覧ください。